環球化

と言うわけで中国の歴史(講談社)の最新刊、明・清時代を読了。
個人的には非常に興味深く面白い内容でした。
私自身が昔大学の卒業論文のテーマにした部分と近い内容だったこともありますが。
(洋の東西は全く違いますが、アプローチする対象がと言う意味でです)


北虜南倭と呼ばれた略奪貿易から中華思想の賜物たる朝貢貿易も含めた
中国の汎東ユーラシア的広がりを概観することで、経済的広がりを受けつつ、
当時の中国における政治・経済システムをユーラシア上に位置付ける。
そう言った意味で、元以降の中国がもつ二面性のうち、
中華思想的部分よりも国際国家としての部分を前面にだした内容は、
非常に興味深く、面白く読める内容でした。


アプローチそのものもトップダウンボトムアップをバランスよく使っており、
平易な文体とあわせてこの時代の入門書としてお勧めできる一冊だと思います。
ただ、どちらかと言うとシステマティックな歴史論であり、
人間ドラマ的な読み物としては全く期待してはいけませんが。


とはいえ、流れとしての、システムとしての歴史を概観し、
歴史学の本道と言うものを知るにはオススメの一冊であるといえます。

海と帝国 (全集 中国の歴史)

海と帝国 (全集 中国の歴史)